RESEARCH

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これまでの研究

 学部から修士にかけて,主に熊本地震後の益城町における被災者の住まい意向に着目した研究を行っていました.災害からの円滑な復興を進めていくためには,被災者の住まい意向を把握し,それに応じた施策が必要となります.益城町が実施した住まいの再建に関する意向調査データを多変量解析手法に基づき分析することで,被災者の生活再建プロセスに関する理解を進めてきました.その延長線上として,博士課程在学中では動的な住まい意向の変遷や生活再建プロセスを記述するための新しいモデリングに着手しました.課題として,異なる時点間の住まい意向や生活再建プロセスの選択に生じる内生性 (ここでは未観測の心理的誘因等によりモデルの推定結果にバイアスが生じることを指す) を適切に対処する必要がありました.この課題を解決しなければ,災害公営住宅の家賃や立地,その他の政策変数 (政策上変更可能なもの) が人々の生活再建に与える影響を過大 (過少) に評価してしまう恐れがあります.災害が希少事象である以上,そのようなバイアスを補正し,限られたデータから知り得ることを適切に推測する必要があります.そこで博士論文では,内生性に対処し得る新たな離散選択モデルの提案を行い,またシミュレーションや交通調査データを用いた分析により提案モデルの有効性を検証しました.災害調査データへの適用も今後進めていく予定です.

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